「親が最近つまずくことが増えた」「退院後は自宅で過ごすことになりそう」——そんなとき、真っ先に気になるのが自宅のバリアフリー化ではないでしょうか。でも、介護保険で住宅改修ができることを知らない方は意外と多いようです。どんな工事が対象なのか、いくらまで出るのか、まず何から始めればいいのか。この記事では、介護リフォームの基本を整理しました。
介護保険の「住宅改修費」、最大20万円まで支給される
介護保険には、自宅のバリアフリー化にかかる費用を支援する「住宅改修費の支給」という制度があります。要支援1〜2、要介護1〜5のいずれかの認定を受けている方が対象で、改修費用のうち自己負担割合(1〜3割)を除いた分が支給されます。
支給限度基準額は1人あたり20万円。自己負担が1割の方であれば、実質的に最大18万円の給付を受けられる計算です。20万円の範囲内であれば複数回に分けて利用することも可能です。
公的機関の見解
厚生労働省の定めにより、介護保険における住宅改修の対象となる工事は、(1)手すりの取付け、(2)段差の解消、(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床材変更、(4)引き戸等への扉の取替え、(5)洋式便器等への便器の取替え、(6)これらに付帯して必要な工事の6種類です。工事前に申請が必要で、工事完了後に領収書等を提出することで費用が支給されます。
転倒事故の約半数は自宅で起きている
バリアフリー化の重要性を裏づけるデータがあります。消費者庁の調査では、65歳以上の転倒事故の約48%が自宅で発生しているとされています。また、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、高齢者の介護が必要になった原因の第3位が「骨折・転倒」(13.9%)です。
つまり、自宅内の段差や滑りやすい床材を放置しておくことが、将来の介護リスクを高めている可能性があるということ。「まだ大丈夫」と思っているうちに対策しておくことが、結果的に介護期間の短縮や介護負担の軽減につながります。
介護リフォームで押さえたい3つのポイント
まずはケアマネジャーに相談する
介護保険を使った住宅改修は、リフォーム業者に直接依頼する前に、担当のケアマネジャーに相談するのが正しい手順です。ケアマネジャーは「住宅改修が必要な理由書」の作成や、複数業者からの見積もり取得のサポートをしてくれます。介護認定を受けていない場合は、先にお住まいの市区町村で要介護認定の申請を行いましょう。
工事は「事前申請」が原則
介護保険の住宅改修費は、工事を始める前に市区町村へ事前申請が必要です。申請書・理由書・見積書・改修前の写真などを提出し、承認を受けてから着工します。工事後に「やっぱり申請しよう」では支給されないので注意してください。
介護リフォームの実績がある業者を選ぶ
一般的なリフォーム業者でもバリアフリー工事は可能ですが、介護やバリアフリーの知識が十分でない業者に依頼すると、使い勝手の悪い仕上がりになるケースがあります。福祉住環境コーディネーターの資格を持つスタッフがいる業者や、介護リフォームの施工実績が豊富な業者を選ぶと安心です。
よくある質問
介護保険の20万円で足りない場合はどうする?
介護保険の上限を超える分は自己負担になりますが、自治体独自のバリアフリー改修補助金が使える場合があります。また、バリアフリーリフォームに対しては所得税の控除や固定資産税の減額といった減税制度も用意されているので、併用を検討しましょう。
要介護度が上がったら再度利用できる?
はい。要介護状態区分が3段階以上重くなった場合や、転居した場合には、再度20万円までの支給を受けることができます。
マンションでもバリアフリーリフォームはできる?
手すりの設置や段差の解消など、専有部分のバリアフリー改修は可能です。ただし、マンションの管理規約による制限がある場合もあるので、着工前に管理組合への確認が必要です。
この記事の参考サイト
まとめ
介護リフォームは「必要になってから慌てて」よりも「少し余裕があるうちに」進めるほうが、本人にとっても家族にとってもプラスになります。介護保険の住宅改修費は最大20万円まで使え、自治体の補助金や減税制度との併用も可能です。
「親の足腰が少し弱ってきたかも」と感じたら、まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみてください。
コメント